私的子育て論

私は同年代の中では比較的早いうちに結婚出産を経験したので、2人の子どもは既に成人しており、子育てはほぼ終盤に差し掛かった感がある。
他方、ネットや実生活で知り合う方はまだまだ子育て最盛期(違)のママさんが多い。
お子さんの年代なりの悩みや迷いを目にして、少し懐かしいような淋しいような気持ちになることもある。
教育や躾に関しては、もちろんそれぞれのご家庭の方針があり、お子さんの個性があるので、私なぞが口出しするものではないが、それでも「誰にでも共通する」のでは?と思える子育てのベースのようなものがあるので、誰かの参考になることがあればとここに記しておく。

①子育ては、「子どもを育てる」のではなく、「子どもを、自立した大人に育てる」ということ。
②我が子に「自分以上」を求めない。
③段階的に子どもから離れる。
④子どもをコントロールし続けない。
⑤「いい親」と思われたい欲求は時に子どものためにならない。

便宜的に番号を振ったがどれも重なる部分があると思っているのでざっくり説明する。

子どもはいつまでも子どもではいられない。
いつか成人し、(多くの場合)いつか社会人になる。
いつまでもママを甘えて頼るかわいい子どもでいさせることはできない。
いつまでも親が道を拓いてやることもできない。
なにか問題があったとき、親がすべてを解決してやることはできない。

PTA総会のあいさつで保護者に話したこと。
生まれたときは胸に抱き、歩き始めたら手をつなぎ、小さいときはずっとそばで見守り、少しずつ子どもから手を離していく、でも心は寄り添い続ける。
自由に出歩くようになっても、放任ではなくちゃんと気持ちは子どもに向けておくこと。離れて暮らし始めたら、時々でも思い出すこと。

反抗期のあるなしや程度は個人差だが、どこかで子どもが親を越える(子どもから見て)時期が必要なのだと思う。
親を馬鹿にするというのではなく、すべてにおいて自分よりも上の存在で、子どもにとっては世界の全てのようであった親が実はそうではない、親も欠点や無知のあるひとりの人間なのだと悟り、それを認める。
(と同時に自分以外のすべての人がそうであると知ること)(←他人に完璧を求める人が多い気がしている)

子どもさんの成績や宿題、習い事、生活習慣等々に頭を悩ませる親御さんも多いだろう。
基本的には、自分が期待したほどできなかったら「まぁ、私の子だからしょうがない」と思えばいいし、予想以上にできがよかったら「私の子なのにすごいな」と思えばいい。
周りで子どもの(特に成績や進路で)イライラしていた友人はたいがい我が子に「自分以上」を求めていた。
曰く、自分が受験で失敗したから子どもには失敗させたくない。自分の出身大学より低いレベルの学校に行って欲しくない…等々。
受験で失敗してもその結果入った学校が思いのほかマッチしてるかもしれないし、大学のレベルなんてあくまで数値の上のこと、だいたい時代が変わればランクも変わるのだからナンセンスだ。
成績がいいか悪いかに一喜一憂するよりも、本人が頑張ったかどうか(頑張ったのにダメだったとか頑張れなかったとか頑張ったからよかったとか)を聞いた方がいい。
私は基本的に成績表を受け取ったら「おつかれさん!」と言って反応を見ていた。
成績が悪くて叱っても勉強をようなはならない。
親が親になってもなにか調べたり読んだりしている姿を見せる方がよほど効果がある。
だって学んでいかなければならないことはいくつになってもあるのだから、学ぶ習慣の方がそのときのテストの点数よりも大事だ。

小学校に入ると、毎日時間割を揃えて忘れ物がないように見てあげてください、と言われることが多いと思うが、私は声をかける程度でほとんど見てやらなかった。翌日忘れ物に気付いても、米飯以外は届けなかった。
忘れ物をすると困る、と本人が思わなければ、きちんと支度するようにはならないだろうと思っていたからだ。(先生的には迷惑だろうが)
ついでに本読みもロクに聞かずサインだけしていた(おい)
私は先生に「いい親」と思われたいという願望が全くなかったので、たとえ先生の指示でも理解不能なことにはほとんど従わなかった。
娘が中学で執拗な嫌がらせをうけたときには、担任から(娘の)ものの言い方がキツいからでは、ご家庭で指導をと言われたが、授業を妨害する男子に文句を言うのは間違いではないはず、言い方云々ではない、と反論した。(そもそも指導しきれないでいたのは学校側)←一人二人じゃなかったからね


長男は昨日27になった。
大学2年から嫁ちゃんと付き合い始め、卒業後一度お別れしたけど間もなく復活してすぐに結婚を決めた。
プロポーズしてからの事後報告。
そして結婚式準備のあれこれで初めて"本家"の一人娘だと知った(笑)
この話をすると、長男なのに一人娘と結婚させたの?とか、付き合い始めた時点でなぜ聞かなかったの?とか言われる。
嫁ちゃんとは彼らが20歳のときに初めて会ったが、私的には一目惚れに近いくらいお気に入りの子だったから、この子と結婚したらいいな、とは思っていたけど、どんな家庭でどんな親で、といういわゆる条件は全く気にしなかったのだ。
だって条件が整ってるから好きになるわけじゃないもの。
ここはまだまだ田舎だから、男子(特に長男)は跡取りという意識が強いのかもしれない。
ウチは継いでもらうものなど何一つない。
もしも親から見て残念なパートナーを選んだら、異性を見る目を育てなかった親の責任と思うしかない。

長女が小学生のとき、PTAのクラス懇談で自説を展開して「ウチはこれで子育て成功してます。皆さんもどうぞ」と言い放ったお母さんがいた。
彼女は子どものコントロールに成功していたにすぎない、と思う。
子育ての結果なんてそんなに簡単には見えない。
育てた子がその子どもを育てるくらいの年齢になってやっと、まぁまぁ成功したかなとかちょっと斜めになったなとかわかるくらいだろう、と私は思っている。
その観点でいうと、長男はまぁまぁで、長女は時々横道にはまっている最中…かな。
生物的?に女親は男の子が可愛いのはわりとノーマルで、そういう意味で長男は可愛くて、ちょっとダメなところ満載の長女は、ダメな子ほど可愛い理論でまた違う可愛さがあるので、うまいことできてるなぁと思う今日この頃である。